FACTFULNESSを読んだ

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本の概要

 ファクトフルネス。意味は副題の通り、『10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』である。人間はどうしても、正しいか正しくないかの二分論で考えたり、今の悪い事態がずっと続くのではと考えたりなど、実態とは大きく離れた本能的な思い込みに陥りがちである。人間の本能によって生じる思い込みを理解することで、データを基に世界の様子をありのまま捉える習慣を身につけよう、という本。

 

読んだ動機

 昨年(2019年)の9月から読み始めた。何か本を読もうと思ったがこれまで本を読むという習慣がなかったため、とっかかりとして店頭に並べられた本のうち一番身近そうな本を、と思い選んだ。あまり主張が激しくない表紙が良かったのかもしれない。音楽で言うところのジャケ買い

 

感想

 自分が今さら内容について語るような必要があるのかというぐらいの大ベストセラーで、要点をまとめたブログや動画もたくさん作られているような本である。何か勉強になるような本を読みたいけど何から読めばいいか分からないという人はとりあえずこれを読むといいのでは。てか読んでくれ。帯に書いてある「ビル・ゲイツ大絶賛、大卒の希望者全員にプレゼントまでした名著」にもうなずける。それぐらい世界的かつ普遍的な一冊。一過性の自己啓発本ではなく、事実がただ書き連ねられている本。

 人間どれだけ賢くなろうとも、思い込みからは逃れられない。なぜなら人間には本能が備わっているから。本能を実感しやすい例として、目の錯覚があげられる。実際に横棒は同じ長さなのに、違う長さに見えてしまう。錯視を理解していても同じ長さにはなかなか見えない。それはどうしようもない。

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錯視の例

 でも、そのような錯視があると理解していることではじめて疑うことができるようになる。明らかに違うように見えるけど、もしかしたら錯視なのかもしれないと。物事を誤って捉えていることに、スルーすることなく気づくことができる。

 本書における”10の思い込み”のすべてに筆者のエピソードが添えられている。その中でも10章の「焦り本能」には、医師である筆者がアフリカの国モザンビークで未知の感染症と闘ったエピソードが記されている。ある村の数百人が感染症と思われる病気で苦しんでいたため急いで道路を封鎖したのだが、その封鎖のせいで普段バスで村を出て商売している人たちの命を奪ってしまった。しかものちに判明したのは、病気の原因が実際には感染症ではなく生のキャッサバに含まれた毒物が原因だったという。未知の症状を見て「何か手を打たねば」という焦りから誤った対処を行ってしまい、さらに多くの命を落としてしまったエピソードである。

 当たり前のことが当たり前じゃなくなったときに、人間は理性を失って本能のままに行動してしまうというのは、我々が今リアルタイムに肌で感じていることであろう。「データを基に世界を正しく見る習慣」はまさにいま求められている。