アルクアラウンドでアイデンティティを見つけ、グッドバイ/ユリイカを経て新宝島へ連れて行かれた話。【祝・サカナクション12周年!】
こんばんは。サカナクション歴8年の大学院生、ほーりーAです。
本日2019年5月9日、僕が愛してやまないロックバンド「サカナクション」がメジャーデビューを果たしてから12年になる。
人生ではじめて好きになった曲は「アルクアラウンド」、人生ではじめて買ったCDは「ミュージック」、人生ではじめて人前で演奏した曲は「新宝島」だった僕からしてみれば、サカナクションは自分の音楽の原点であるし、自分という人間を形成してきた、いわば欠かすことの出来ない要素といっても過言ではない。
今年の4月から毎日「なんでもカタログ」という短い日記形式でブログを更新してきたが、そろそろサカナクションについて思うところをつらつらと書きたいなと思ってた時分、ちょうど5月9日で12周年やん!と気づいたのでこうして書くことにした。
自分の人生とサカナクションの動きを時系列で照らし合わせながら振り返っていこうと思う。
年齢やファン歴に関わらず、サカナクションのことを愛する方々と共有できたら嬉しいです。
そもそもサカナクションについて全く知らないぞ、という方は下の記事をどうぞ(隙あらば宣伝)。
目次:
出会い
サカナクションとの出会いは高校生になってすぐ、YouTubeで見た「アルクアラウンド」だった。当時そもそも音楽を聴くという習慣がなかった僕であったが、このMVはなぜか毎日再生していた。何が良いとかは言葉にすることができないが、なにかが自分の中に引っかかったみたい。
サカナクション - アルクアラウンド(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-
そして2011年7月22日、サカナクションはミュージックステーションに初出演する。『あっ、アルクアラウンドのバンドやん、見てみよ』とテレビの前で正座。
しかしそこで演奏されたのは「アルクアラウンド」ではなく、当時リリースされたばかりの「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」であった。しかもバンド編成ではなく、リンゴマークのラップトップが5台横に並んでいて、各メンバーがその前に立っている。そしてボーカルの口から放たれるのは「ばっは~のせんりつを~よるにきいたせいですこんなこころ~おお~」。
『は???』
意味が分からなかった。すべてが初めてのことで、処理が追いつかない。自分がJKだったなら『待って、待って』と連呼していただろう。
でも人間というのは不思議なもので、すぐには理解しがたい謎を残されるとついそれが気になってしまう。このMステのパフォーマンスをきっかけに、サカナクション他の曲のMVを探っていくとどんどんその魅力にハマっていった。
自分の中で“アルクアラウンドのバンド”から“サカナクション”へと変わった瞬間である。
サカナクション - 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(MUSIC VIDEO) -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-
アルバム曲探り期
YouTube上でさまざまな楽曲にハマっていったが、それでは飽きたらずついにアルバム曲を聴いてみようと近所のCDレンタルショップへ。片っ端から音源をレンタルし、クリスマスプレゼントで貰ったウォークマンに入れていく。
そのCDレンタル屋さん、普段は5枚で1,000円なのだが、毎週火曜日(他の曜日だったかも)は10枚で1,000円になるため、その曜日を狙って足繁く通う。結果、名前の聞いたことのある他のミュージシャンの音源もついでに借りていく。これらの音楽がのちのち自分を形成していくわけである。具体的には、RADWIMPS、ONE OK ROCK、UVERworldなど。
共通の好きなバンドをきっかけに友達が出来て、話が盛り上がるというのは、特に学生生活にとってこの上なく楽しいこと。しかし自分の学校にサカナクション好きの同士は見つからなかった。他のバンドが好きな人はけっこういたのに。悲しい。
大学受験
時は流れ高校生活も佳境、大学受験を迎える。センター試験の3日前にシングル「グッドバイ / ユリイカ」が発売される。サカナクションとしては初めての両A面シングルで、「別れ(グッドバイ)と発見(ユリイカ)」がコンセプトであった。地元、京都の高校を卒業し、東京の大学への進学を志していた当時の僕にとって、グッドバイとユリイカはまさにぴったり合っていた。
今の時代多くの人にとって大学受験というのは人生において最も大きなイベントのひとつであって、それは自分も例に漏れなかった。ことさら「グッドバイ」という曲は、山口一郎の苦難の末に出来上がった曲(ラジオでの初解禁で泣きながら流した曲)で、当時の自分の気持ちとどこかシンクロを感じた。
結果的に上京の夢は叶わなかったわけだが、今でもこの二曲を聴くと当時の思いがよみがえる。
(そういえばこのMV、今ではすっかり有名になった中条あやみさんが出てますね)
新譜を待ち焦がれる日々
時は流れ大学へ進学、それまでだいたい一年ごとに新アルバムを出していたサカナクションだったが、6thAL「sakanaction」を最後にリリースが止まる。
「さよならはエモーション/蓮の花」「新宝島」「多分、風。」と一年ごとにシングル曲はリリースされるものの、アルバムは毎年「今年中には出したい」と発言するだけで、実際にリリースされる気配も無い。
しかしその期間何もしていなかったのかというとそうではなくて、映画の主題歌や劇伴(バクマン)を作ったり、レコード会社(NFRecords)を立ち上げてクラブイベント(NF)を開いたり、フェスやワンマンツアーで演奏したり、音楽番組(NFパンチ)の制作に携わったりと、長期的な音楽への貢献活動をしていた。
そんなサカナクションの姿を見て気づいたのは、音源を出すことだけがミュージシャンの仕事ではないということ。音楽にはビジネスの側面もあるが、社会における音楽の立ち位置であったり、音楽の楽しみ方を伝えることも大事で、今サカナクションはそれが出来る立場になったわけで。そう考えると、アルバムが出ないのは仕方ないし、むしろ今できることをやってくれ!という気持ちになった。
そしてちょうどその頃に僕は20歳、成人を迎えた。
ちなみに、サカナクションを愛する同士は大学でも見つからなかった。どこにいるんだ魚民。悲しい。
新宝島、音楽を「聴く側」から「作る側」へ
サカナクション / 新宝島 -BEST ALBUM「魚図鑑」(3/28release)-
「新宝島」が爆発的にヒットした。それも、体感ではリリースされてから2年ぐらい経ってから。ある界隈では『空前の新宝島ブーム』とも言われた。
リリース当時『めっちゃ振り切ったな』と感じていたが、そこそこのヒット。クオリティに反して評価は控えめだった。まあ勢いこんなもんか…と半ば落胆していたが、少し遅れて火がついた。少し時代を先取りしていたのかな。
このタイミングでのヒットはでかかった。サカナクションはこの新宝島によって、結果的に知名度をグッと引き上げ、新規の獲得にもつながったと思う。
今では『サカナクションといえば新宝島』。それ以前の曲に強い思い入れがある自分にとってはその言葉に少し抵抗があったけど、新宝島サカナクションを知る窓口として、大きな役割を果たしている。不本意なネタにされることもあるけど、これがサカナクション、ひいては音楽そのものにハマるきっかけのひとつになれば良いなと思う。
新宝島の歌詞「このまま君を連れて行くよ」の通り、この曲は色んな人やものを“新宝島”へ連れて行ったと思う。
僕もその一人で、この曲は音楽を「聴く側」から「作る側」へ連れて行ってくれた。サカナクションをきっかけに色んな音楽に触れ、いつしか自分も「作る側」で音楽に関わりたいと強く思うようになった。バイトで稼いだお金でキーボードを買い、人前で演奏するまで至った。これも運命なのか、初めて演奏したのは新宝島だった。
これから
そしてまだ発展途上であるが、DTMという形での音楽制作を勉強中である。小学1年生からずーっと野球だけを続けていた僕が、まさかこうして大人になって毎日音楽制作のことを考える日々を過ごすなんて思いもしなかった。
これも元を辿ればサカナクションのおかげであり、今となっては自分にとって欠かすことの出来ない存在である。そんなサカナクションが、大きな事件もなく、無事に12周年を迎えられたことに感謝しつつ、今後のさらなる発展を願うばかりである。
これからもよろしくな!
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